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『ポケットモンスター みんなの物語』がなにげに面白いこと、知っている?


 先日、映画『ポケットモンスター みんなの物語』を観てきたにょろ。タイトルからわかるように、今回は「みんな」を主役にした群像劇。

 

 あるひとつの街を舞台に、サトシを中心とした無数のキャラクターたちのドラマを時に絡め合わせながら描きます。いわゆるグランドホテル形式ってやつですね。

 

 この手の群像劇って、いかに無駄なくシナリオを整理できるかで八割がたは出来が決まってしまうようなところがありますが、その点、この映画は実によくできている。

 

 いやー、きれいにひとつひとつちゃんと伏線を回収していくことには感心しました。まあ、ポケモンと人間ってほんとうに仲良くなれるのだろうか、ほんとうに人間ってそんなに悪い人ばかりではないのだろうか、と疑問を感じなくもないのですが(笑)、そういうことをいうのは野暮なのでしょうね。

 

 それぞれに問題を抱えつつ勇敢に自分の限界を突破し成長していく群像のドラマのなかでも、ウソつきの叔父さんのエピソードはリアル叔父さんであるぼくとしてはマジに涙目。ほんと、『ポケモン』、泣かせるわー。子供は可愛いよね。

 

 個人的にはもっと登場人物のバックグラウンドを深掘りしてくれたらさらに素晴らしい傑作になったのではないかとも思うのだけれど、それはもう『ポケモン』に期待するものではないでしょうね。

 

 とにかく、「どうせ子供向けの映画だろう」と高をくくっている大人にもぜひ見てほしいクオリティの高い作品です。

 

 サトシがもうちょっと笑っちゃうくらいかっこいいのですが、中心はあくまでひとりひとりが何らかの課題を抱えた「みんな」たちのほうなので、『ポケモン』映画として見ても非常に新鮮です。なるほど、最近の『ポケモン』ってこんな感じなのかあ。

 

 この手のシリーズものは、『ドラえもん』などもそうですが、何十年と続くうちにどうしてもマンネリに陥るものです。また、どんな壮大な冒険がくりひろげられたとしても、次回ではすべてがリセットされてしまうので、根本的な変化を描くことができないということもできます。

 

 その意味で、この映画がサトシを主人公から外してきたのは正解なのかな、と思います。ある意味では、もうかれのドラマを描くことはやりづらいのかもしれないですね。

 

 何十回も成長を描きながら、そのたびにリセットされるということは、いかにも辛い。でも、それはいわば構造的な問題なので、映画の制作者としてもどうしようもないことなのですよね。

 

 その制約のなかでどのようにして面白い新作を創り出していくのか、この『みんなの物語』はひとつのアンサーといえると思います。

 

 とにかくよくできている。ぼくは世代的にちょっとずれているので特に『ポケモン』には興味がなかったのだけれど、この映画を観たら『ポケモン』デビューしてみようかという気になってきました。

 

 それくらい完成度が高い。まあ、嵌まったら怖そうなのでちょっと考えものではありますけれどね。いい映画でした。面白かった! どうもありがとう。

 この記事を書いている人:海燕(かいえん)

 

 プロライター。7月30日生まれ。2001年1月1日からウェブサイトをオープン。ネットの世界にデビューする。そのサイトの後身であるブログ「Something Orange」は1000万PVを記録。その後、ニコニコチャンネルにて有料ブログ「弱いなら弱いままで。」を開始、数百人の会員を集める。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を見るまでは死ねないとか思っているよくいるタイプのアラフォー男子。