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『あなたがしてくれなくても』とセックスレスと自尊心。

◆セックスレスは女を、男を深く傷つける。


あなたがしてくれなくても(1) (アクションコミックス)

 『あなたがしてくれなくても』。

 

 ひらがなばかりの印象的なタイトルをもつこの作品のテーマは、そう、「セックスレス」。週刊誌やインターネットでひそやかに、あるいはときに公然と囁かれる「夫婦の秘密」。

 

 セックスレスをテーマにした漫画というと、いかにも興味本位の物語が思い浮かびますが、この作品はまったくそうではありません。

 

 むしろ、限りなく繊細に、しかし執拗に、セックスレスという問題がいかに人を傷つけていくかが描写されています。

 

 いや、これは傑作。じつに素晴らしいと思う。このテーマを扱った作品としては最高傑作といって良いでしょう。

 

 主人公は結婚5年目の女性。そして、夫とセックスレスになってから2年が経つ。夫とは仲が悪いわけではないが、セックスがないことだけは辛いと思っている。

 

 そんな彼女が、夫から精神的にも肉体的にも愛されたいと願い、さまざまに努力しては挫折してさらに苦しみを深めていくというのがあらすじです。

 

 しかし、この筋立てだけではわからないようなディティールが非常に細かく描き抜かれていて、そこが非常に印象的。

 

 セックスレスって、こんなにも女性を(男性も)傷つけるものなんですね。よくわかりました。

◆セックスレスとは自尊心の問題。


 セックスレスといえば、やはり性欲の問題のように思われるけれど、じっさいにはそうではない、自尊心の問題なんですね。

 

 パートナーが性的、肉体的に自分を拒むということは、どうしようもなく人を傷つけることだということ。

 

 それはおそらく、女性としての、あるいは男性としてのプライドを深く傷つける行為だから。

 

 しかし、なぜプライドが傷つくのか? まあ、ぼくは結婚したことがないのでわかりませんが、でも想像することができます。

 

 つまりは性的な行為は人のアイデンティティに深いところで結びついているということなのでしょうね。

 

 そして、女性にしろ男性にしろ、ただ精神的に結びついているというだけでは満たされない、肉体的な接触も求めるものだということ。

 

 あたりまえといえばあたりまえのことですが、その「肉体的な欲求」を単に性欲だと考えると、問題の的を外すことになる。

 

 そうではなく、「肉体的にも愛されたい」、「自分の価値を認めてほしい」という切なる思いが満たされないことこそがほんとうに人を苦しめるのです。

 

 そして、そこにあるものは深刻な「ディスコミュニケーション」の問題です。

 

 セックスもまた、コミュニケーションのひとつのバリエーションであり、そして恋愛そのものもそうである以上、コミュニケーションが成立しない夫婦というものは本来的にありえません。

 

 でも、世の中にはまるでコミュニケ―ションが成り立っていないにもかかわらず、「夫婦というかたち」だけを保っているような夫婦がいくらでもあるのですね。

 

 そういう夫婦があっさりセックスレスに陥ることは容易に想像できます。

 

 そりゃそうだよね、話し合いもろくにできないのにセックスだけできるというのは変だもん。

 

 まあ、そういう人たちもいないとはいえませんが、面白くないと思うよ、そんなセックス。

◆パートナーは「話が通じる相手」にしよう!


 で、この『あなたがしてくれなくても』の主人公の夫はまったくコミュニケーションができない男なのです。

 

 妻を母親か何かと勘違いしているのか、彼女に家事をすべて押しつけ、自分はひたすらゲームに没頭するというろくでなし。

 

 「オタク」を自任するぼくでも見ていて腹が立ってきます。

 

 おまえ、自分の奥さんを何だと思っているんだよ! 釣った魚はちゃんとえさをあげないと、逃げるか、死ぬかしちゃうんだよ!

 

 いや、ほんと、恋人を選ぶとき、いちばん大切なことは「話が通じるかどうか」だとつくづく思いますね。

 

 ちゃんと「会話が成立する」相手なら、ほかにいくらか問題があっても、会話を通してそれらを解決していくことができる。

 

 でも、根本的に話が通じない相手はもうどうしようもない。そういう相手といっしょにいると、ひとりでいるよりもっと孤独にさいなまれることになります。

 

 ほんとうにこの夫はダメな奴だなあ。たぶん、悪い人ではないのかもしれないけれど、そもそも恋愛とか結婚に向いていないタイプなのかもしれない。一生、ひとりでゲームやっていればいいんじゃね?と思ってしまう。

 

 恋愛も、結婚も、セックスも、すべては「対人関係」のバリエーションです。

 

 まるで恋愛力のないぼくがいうのもなんだけれど、恋愛だけが特別な関係なのではなく、本質的には「人とまじわっていく力」をもっているかどうかが大切なのだと思う。

 

 ここら辺、さらに考えを突き詰めていきたくはあるのですが、さて、Google Adsenseあたりの規約にひっかからないだろうか(笑)。

 

 そもそもぼくに「人とまじわっていく力」があるのかどうかもよくわからないのだけれど、でも、ぼくはやっぱりひとりだと寂しいほうなんですよね。

 

 いやあ、なんでこんなにモテないのか不思議だ。何か前世で罪でも犯したのだろうか。そういうわけで、セックスレスのはるか以前のところでひっかかっているのでした。ため息。

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 この記事を書いた人:海燕(かいえん)

 

 プロライター。7月30日生まれ。2001年1月1日からウェブサイトをオープン。その後身のブログは1000万PVを記録。その後、ニコニコ動画にて有料ブログ「弱いなら弱いままで。」を開始、数百人の会員を集める。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を見るまでは死ねないと思っている、よくいるアラフォー男子。


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